「世界中を敵に回しても・・・。」

「ん?どした、?」


彼氏の雅治と昼ご飯を食べているときに、私はそんなことをふと呟いた。


「さっきね、友達とそういう話が出て・・・。雅治は、どうなのかな・・・って。」

「どうって、何が?」

「『世界中を敵に回しても、僕は君を愛し続ける』みたいな台詞とか歌詞ってあるでしょ?雅治は、どう思う?」


私がそう聞くと、雅治はすごく驚いた顔をしていた。
・・・別に、真剣に聞いたわけじゃないんだから、そんなに驚かなくたっていいのに。


「なんじゃ・・・。俺の愛が足らんか?」


そう言いながら、雅治は私の頬にそっと手を当てた。・・・わわっ!
私は恥ずかしくて、慌てて雅治の手から逃げると、さっきの質問を続けた。


「そ、そういうことじゃなくって!そのままの意味で!!」

は、愛し続ける、と言ってほしいんかのう・・・?」


相変わらず、雅治は飄々とした様子で、そう言ってのけた。
結局、雅治の気持ちって、わかんないよね・・・。


「ううん。私は、そう言ってほしくない。」


そして、私は雅治の考えを聞くのを諦めて、自分の意見を話した。


「ほう・・・。それは、なんで?」


雅治は、私がこんなことを言うのが予想外だったのか、興味津々といった表情で、こちらを見ている。


「だって、世界中を敵に回すってことは、私が悪いことをした、もしくは悪いことを企んだから、ということになるでしょ?そんな間違った道を選ぶ前に・・・ううん、間違って選んでしまった後でも構わないから、雅治には止めてほしいと思う。」


好きな人だからって、何でも許せるというわけじゃないし、何でも許せちゃいけないと、私は思う。
こんな風に注意したら、嫌われるんじゃないか?と思って、相手の過ちを正さないのは、結局、その人の為にならないもん。


「なるほどね・・・。でも、俺が好きになったが、世界を敵に回すことなんて絶対にやるわけがない。それなのに、世界がを悪とするなら、俺はその世界すら相手にしても構わん・・・そういう意味で、さっきの言葉が出てくるんと思うよ。」


いつも通りにそう言った雅治だけど、これが雅治の答えのような気がする。


「でも、本当に私が間違ってたら、どうするの?」

「そんときは、もちろん止める。」


その言葉も、雅治は軽く言っただけなのに、雅治の本心が見えた気がして、すごく嬉しかった。


「そっか。よかった。」

「そう言うは、どうなんじゃ?」

「もちろん、止めるよ。」

「俺が正しいのに、世界が悪だと決め付けたときは・・・?」

「それは、雅治について行く。」


って、私もちゃんと言ったのに・・・。


「ま、そんなことは起こらんから、心配しなさんな。」


それを言ったらお終いだよ・・・。
って、私が明らかに残念そうな顔をしたからか、雅治は私を見て、くくっと笑いを堪えきれずにいた。


「何に笑ってんの・・・?」

「いやぁ。あまりにが可愛い顔をしちょるもんだからな・・・思わず。」

「してません・・・!」


全く・・・。本当、雅治はすぐにからかってくるんだから。
そう思いながら、私はふいと顔を逸らし、目を閉じた・・・・・・・・・・・・・・・ら、急に背中に温もりを感じた。
驚いて、目を開けると、前には私以外の両手が見えた。・・・これって?


「悪い、悪い。からかうつもりはなかった。」


そんな雅治の声が耳元で聞こえた。・・・・・・って、抱き締められてる?!!


「・・・俺は、いつでもを愛しとうからな?」


しかも、そんなことだけ真剣な声で言うなんて・・・。


「私だって、いつでも好きだよ。・・・だから、ちゃんと注意もするんだからねっ!」

の愛のこもった注意なら、いつでも聞くぜよ?」


私が精一杯、強がってみせたのに、それもあっさり流されてしまった。
悔しくて、その状態のまま、もう1度強がりを言った。


「だから!次の授業、ちゃんと真面目に聞くんだよ!」

「そう言うも、午後の授業だからって、居眠りなんかするんじゃなかよ?」

「わかってますー!」


結局、それにも反撃(?)されて、私は少しふて腐れた。それを見て、雅治がまた笑っていた。
・・・だけど、正直そんなに悔しい思いは無くて。なんとなく、雅治が彼氏で良かったなぁ、なんて気分になっていた。
だって、こうやって、お互いを認め合って、でも注意もできて・・・。そんな愛し合った関係って、やっぱり素晴らしいと思うから。
なんて、ちょっと恥ずかしいこと考えてるかな、私。・・・でも、少なくとも、私としては。今こうやって雅治に抱き締められていることの方が、よっぽど恥ずかしいんだけど。いつになったら解放してくれるのかな・・・?と思いつつも、離れようとしない自分もいたりするけど。
うん。恋愛なんて、恥ずかしいことばかりなんだよ。そんなことを昔の偉い人も言ってたし!だから、恥ずかしくても、雅治と付き合えたこと、本当に嬉しく思ってるよ!













 

やっぱり、難しかったです・・・orz誰か、仁王さんの書き方、教えてください・・・!!(笑)
とりあえず、ヒロイン視点で、仁王さんの台詞を少なくしようと思ったんですが・・・。そしたら、全体的な長さも短くなっちゃいました;;本当、すみません・・・。
これからも、頑張ります・・・!

ちなみに、この話は、仁王夢の「Hell Or Heaven ?」を書きながら、別の考え方もしてみようと思って、書いた話なんです。
私は「Hell Or Heaven ?」のような考えも好きですが、やっぱりこっち派ですね。

('08/03/10)